HDD(hard Disk Drive)の中身

PCの重要な部品の1つ、HDD(ハードディスクドライブ)の中はどうなっているのでしょうか。
重たい保護ケースに包まれ、裏側には制御用の電子基盤が組み込まれています。 「強い衝撃は御法度」とか言われますが、その理由は何なんでしょう?
その容量も月ごとに大きくなり、逆に値段は下がっています。(6年ほど前、今にしてみればわずか520MBの外付けHDDを2万円で、それでも安い!と思って買ったものですが、昨今は120GBもの大きさのHDDがわずか1万円と少しで売られていますね)

ちょうど 基盤を壊してしまい、使い物にならなくなったHDDがありましたので、その中身を見てみる事にしましょう。(製品は、IBMのUW-SCSI/9GBのものです)

 ●Photo

HDD-01

まず上面(ラベル面)を覆っている金属カバーを取り外します。 ネジはトルクスという特殊なもので、かなりきつく留められています。 空気や空中のホコリが進入しない様に、カバーの周辺部には密閉性を確保する工夫がされています。 カバー以外の黒い部分はアルミダイキャスト製です。
カバーを外すと、データを記録する部分のディスクと、データ読み書きのための磁気ヘッドアームが現れます。
記録ディスクは固い金属板です。これがハード(固い)ディスクと呼ばれる由縁です。
HDD-02 金属板の表面は鏡の様に磨かれていて、その表面には微細な磁性体がコーティングされています。 この磁性体に、PCから送られてきたデータが記録され、またそこに記録されている他のデータを読み出して、PCの回路の中でデータが展開される....という訳です。
このディスクは、PCの電源が入っているあいだ、高速で回転しています。
磁気ヘッドアームは、左側の機構にあるステップモーターで必要な場所までの移動をして、ディスク上の特定の場所にあるデータを読み、またデータをディスクへ送ります。
磁気ヘッドとディスクの間には、数ミクロンほどの隙間しかありません。 もし万一、このHDD内部に綿ぼこりでも入ろうものなら、ディスクの表面は一瞬にしてキズが付き、そのディスクはもう使い物になりません。
HDD-03 この画像で見えるとおり、ディスクは多層構造で、磁気ヘッドも複数あります。 大容量のHDDでは、このディスク枚数が増えて、なおかつ表面の磁性体の細かさ(セクター)が増していて、より多くのデータを書き込むことの出来る構造になっています。
このように非常に精密な技術の集積であるHDDですが、それだけに、物理的ショックや電気的なショックに弱いという特性があります。 また、ヘッドが頻繁に作動してデータの読み・書きが行われ続けると、どうしても磁性体の欠損などが出来てしまいます。 そうなるともうHDDの寿命ということです。

非常にデリケートな部品であることが判りますが、持ち運び可能なノートパソコンや、MP3プレイヤーにも採用され、さらにはデジタルカメラ用の記録媒体・コンパクトフラッシュカードのサイズでも、HDDが造られているようになりました。 まさにテクノロジーの進歩ですね。
 
<追記>

HDDは完全に密封されているという訳ではなく、カバーの一部にバルブ付きの小さな穴があります。 この穴を通して、大気圧の変化に対応している構造のようです。
HDDのメーカーからは、使用できる最高高度が技術的な資料として発表されていて、パソコンのメーカーもそれに準じて使用最高高度を発表しています。 ちなみにAppleのそれは「3048m(10,000フィート)」となっており、そのとおりであるとすれば富士山の頂上はパソコンの動作保証外....ということになりますが、実際にはそれよりも高い場所(ヒマラヤ登山隊など)での動作実績もあるそうですから、一概には言えない様です。

ではなぜそうした構造になっているのでしょうか?
HDDのヘッドは、ディスクが回転する気流を利用して、わずかに浮上しています。 気圧が下がるとヘッドの浮上に必要な気流(空気圧)が減ってしまい、終いにはディスク面に接触して、磁気面を削ってしまったり、ヘッドを痛めてしまうということなのだそうです。(なお、浮上したヘッドとディスク面の隙間は、たばこの煙の粒子の直径よりも、細菌の大きさよりも狭いということです。)

もう一つ、HDDが停止するときは、磁気ヘッドどうなるのでしょうか?
昔のHDDは、ヘッドを「シッピングゾーン」と呼ばれるディスク面から外れた所に待避させてから、停止していました。 しかしその方式の欠点は、シッピングゾーンとディスク面をヘッドが移動するときカリカリと音がうるさかったり、動作が遅くなる事です。 しかし、アクセスしないときはヘッドを待避させておくことで振動・停電等によるクラッシュの危険から守れます。(今でも、ノートPC、サーバ用途などで、そういう方式の製品が有るようです)
最近のHDDは、ディスク面に超硬加工を施してあり、停止時もディスク面に乗ったままになっているそうです。 起動・停止時は、ディスク面を滑走路として使用しているのだそうで、それでも問題ない訳です。 昔と比べると、ヘッドもディスクの加工技術も半端じゃなく進歩しているんですね。